横溝ワールドもたっぷり

横溝正史の幻の作品と言われる「雪割草」。本当に存在するのか、盗まれたのか、それとも元々ない本なのか。その謎解きを中心に代表作「獄門島」の話題も絡め、九年越しでビブリア古書堂の店主・栞子さんが名推理を展開する。夫の大輔の視点で書かれ、更には娘の扉子まで登場。母親顔負けの推理をも見せるのがミソか。横溝ワールドを十二分に意識して物語を展開させているのも、いつものことながらよくリサーチしてあって興味を惹く。ただ、栞子さんのチャーミングな味が、今回は薄れていて、やや寂しい。尤も、シリーズが続くと最早、そこまで描く必要は無いのだろうか。