ギルバートはやはり好青年

数年前にNHKの朝ドラで好評を博した「花子とアン」の主人公のモデルとなった村岡花子の代表作といえば、この「赤毛のアン」の翻訳でしょう。日本の子供たちに初めて紹介したのは、1952年だそうですが、小学生の世界でも身の回りの物は変わっていきますから、平成の子供に当時のオリジナル版をそのまま読ませても不思議な表情を見せることが多いだろうと想像できます。孫娘の村岡美枝氏があとがきで述べているように、「原作のエピソードをすべてもりこみ、・・・読みやすい形に・・・手なおしをした部分もありますが、「さんざし」「いちご水」などはあえてそのままにし(て)・・・情緒をそこなわないように心がけ」たようです。当欄で、原訳でないことを惜しむ意見を見ましたが、私はとても親切な配慮だと思いました。おしゃべりで好奇心旺盛なアンの活躍と脱線ぶりや、ラストの優しい決意がよく表現しきれています。それよりも登場人物が多く複雑に感じられそうなので、恐らく子供以上に夢中に読み通したおとなが助け船を出してやれればいいですね。