演者

後半の「演者戯言」は、サンデー毎日に連載していたエッセイで、身辺雑記も少なくないから措くとして、前半の「愚者戯言」はユニーク。自分、つまり役者である松重豊氏が、場所など、ある程度のシチュエーションは設定しながらも、何の役を演じているのか分からない展開。結果、そこにスポットが当たるにつれ、氏の文章世界に引き込まれていく。役者だから可能な発想なのか。過去に読んだことがないスタイルの掌編。愚者ではなく、やはり演者なのだろう。