ブロックチェーンの適用分野を知る

著者は、情報ネットワークや情報セキュリティが専門の岡嶋裕史さん。ビットコインなどの仮想通貨で使われている「ブロックチェーン」の原理と、メリット/デメリットについて解説した入門書である。 ブロックチェーンも人間が作った技術である限り、万能ではない。システムとしては非常にプリミティブなもので、Winnyに劣る部分もある。ブロックチェーンが適用できるのは、管理者不在で参加者全員が信用できないような状況で、けっして変更・削除しないデータを蓄積していく場合。ただし、データが極めて小さいものに限られる。また、原理的に、リアルタイム・トランザクション処理はできない。 逆に、管理者が明らかな業務系データの蓄積や、プログラムやコンテンツの配信には不向きである。銀行が取引履歴をブロックチェーンにすることもナンセンスだと感じた。電子マネーのようなリアルタイム決済もできない。 また、ブロックチェーンへの攻撃が無意味であることは、少なくともその内部で市場原理が働いていることを前提としており、もしも経済戦争のようなコストを度外視した国家レベルの攻撃が行われるとしたら、意外に脆いのではないかと感じた。 本書は、技術者向けというより、ブロックチェーンの適用分野を見極めるためのビジネス書という位置づけでとらえておいたほうがいい。巻末に技術書の紹介があるので、興味のある方はそちらも併読していただきたい。