このシリーズは読みやすく、面白い。読者の想像を少しだけ超える程度の驚きを上手に与えてくれる。今回は、蘭方医として生きる元盗賊の統領が拾楽を元の世界に引き戻そうとする展開と、武家の次男と夫婦になり、次男と共に家を継ぐ希望に理性を失う娘の思惑が重なり、長屋を騒動に巻き込む経緯が解りやすく語られる。「離れた壁に映った影は、大きく見えるものだよ」(p.91)、「心が『堅気』へ傾けば傾くほど、振り子が揺れた時の振り幅は、大きくなるというものだ。(p.98)。拾楽は「堅気」のままでいることができるのか、今後の展開に注目したい。