土佐日記や更級日記など、高校の古文で習った記憶のある作品もいくつかあるけれど、 ほとんどはタイトルさえ初耳の日記ばかり。 おそらく現代語で読んでも退屈な内容なんだろうなあと想像がつく作品も多いです。 驚かされるのは、たとえ文学的価値には乏しいと思われる日記も丹念に読み込むことで、 何百年前かに生きた日記作者が残した言葉のなかに、現代の日本人にも通じるなにかを 汲み取ろうとする著者の姿勢。 名もなき小品のなかにも、ふとその作者の個性が感じられる一節を見つける キーン氏の深く温かい人間洞察に感じ入りました。 タイトルの読みは「はくたいのかかく」。 『奥の細道』の冒頭「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」に由来する、 ということを知っただけでも、私には一読の価値が十分ありました。