小中学生と先生にぜひ読んでほしい本です

夜間中学校というと、義務教育も満足に受けられなかった知識のない人たち、といった偏見がどこかにありました。しかし、この本に出てくる中学生は、学校教育を十分に受けられなくて教室での知識はなくても、素晴らしい人生経験の中に化学の基本を学んできた人たちでした。「蒸留」の言葉や原理は知らなくても、泡盛の工場で働いている、ものの燃焼は何なのか知らなくても、ろうそくで灯かりをともす生活をしてきている。炭酸水素ナトリウムの熱分解の仕組みは知らなくても、サータアンダギーをベーキングパウダーで膨らませて上手に揚げて作っている。まさに生活の中の化学を長年実践してきている大ベテランの人たちです。その経験を学問で裏打ちする、そんな授業でした。 最近の小中学生の中には「何のために理科を勉強するのかわからない」という子がいます。そうした子に迫られて絶句する若い理科の先生もいると聞きました。そう言った生徒や先生に、ぜひこの本を読んでもらいたい。理科は普段の生活の中にいくらでもある。それに気づくかどうか。気づけば理科の面白さにも大切さも認識できるだろう、ということがこの本を通じて思ったことです。