「裏の世界」に生きる男の物語で、テンポよくドンドン展開する物語に引き込まれる… 題名の『暗手』(あんしゅ)とは、本作の主要視点人物である「裏の世界」に生きる男の“通名”である。 「暗手」は日本人の元プロ野球選手で、台湾のプロ野球に流れた時に“八百長”に関わってしまう。それが契機で殺人を重ねてしまった経過が在り、台湾から欧州へ流れ着き、顔も変え、変名を使い分けて暮らしている。そして中国系のグループによる、サッカー賭博を巡る八百長の工作等、「殺し以外は何でも」と様々な裏仕事をしていて、「暗手」という通名になる。現在はイタリアのミラノに在る。 物語はミラノ辺りを主な舞台として展開する。 「暗手」は、“セリエA”に昇格したミラノ近郊のチームが迎えた日本人のゴールキーパーの大森を“八百長”に巻き込む工作を請け負った。 「暗手」は「ミラノで貿易を営む日本人事業家の高中」と名乗って大森に接近し、大森を絡め取ろうと工作を重ねる。そうした中「棄てた」筈である過去を強く意識させる出逢いが生じてしまう。 「暗手」が負っている過去と、立ち向かわなければならなくなった状況、そして繰り広げられる死闘…一寸夢中になる。