重く、そして赤裸々。だからこそ心に響く
こういう本に興味のある方ならご存じとは思いますが、ネトゲ廃人というのは生活のほとんどをネットゲームに費やしている人を指して使われる用語で、この本はそうしたネット廃人だった人が書いたものです。
序章に「リアルは堕ちてしまった」という書き出しから始まる詩が書き連ねてあって、まずはジャブ的に重い気持ちを抱えながら本文へと続くのですが、第1章は作者がネット廃人になった経緯が書かれてまして、両親の離婚をきっかけに不登校、ネットゲームにのめり込むようになり、一時は立ち直って高校にも入りますが中退し、そこから坂を転げ落ちるようにネットゲーム中心の生活にはまりこんでしまうのが生々しく書いてあります。これだけでも私にしてみれば相当重いですが、世の中にはネトゲ廃人の上を行くネトゲ廃神というのもいて、続く第2章でそうした人達が紹介されます。
一口にネトゲ廃人と言いますと、先程も書いたように生活のほとんどをネットゲームに費やして、現実での生活は破綻しているイメージが最も広く定着していると思いますが、この本で紹介しているネトゲ廃神にはネットとリアルをしっかり両立させ、大学をちゃんと卒業して就職している人や、大学院を目指している人までいまして、そうした人達は体力もさることながら、自己管理する意志の強さが並外れているんですね。もちろん中には風呂や食事もろくにせずネットゲームにのめり込んだり、果てはトイレにも行かずペットボトルなどに用を足してしまう人なども紹介されてますから、ある意味本当に偏見無くネトゲ廃人について書いていると思います。
他にもネットゲームのキャラクター育成ビジネスやゲーム内貨幣やアイテムのRMT(リアルマネートレーディング)など、ネットゲームを取り巻く問題について書いていたりしますが、やはり一番印象的だったのは作者のネット廃人化、そしてリアルへの復帰の過程でしょう。
私もこの歳になるまで相当な数の恥ずかしいことや失敗を積み重ねて、それらを思い出すと最悪そうしたことを考える脳味噌を忌々しく感じたりしますが、私よりもっと重くて辛い人生を送ってきた作者は、いくら仕事で書くためとは言え辛いこと、悲しいこと、恥ずかしいことなどを思い出していくのはとてつもなく過酷なことだったと思います。そうした苦しみを乗り越えて、この本を書き上げた作者に、「良くやった」と言いたいです。
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