一神教のタブーと民族差別

逆説の世界史第2巻「一神教のタブーと民族差別」を読んだ。なかなかタブーに踏み込んだ内容で,序章で「一神教は地球人が創り出したと仮定することが大前提だが」と一定の言い訳をしている。このシリーズは英語圏でも発売されていると思うので配慮が必要だということらしい。私は日本人なので,その奥に何があるのかはよく分かる。 本巻は五章からなり,一章:ユダヤ教と旧約聖書,二章:キリスト教と新約聖書,三章:イスラム教徒コーラン,四章:十字軍遠征,五章:オスマン帝国の崩壊,中東戦争,と展開される。 ざっと全体を俯瞰して流れを整理するには丁度良い内容だった。宗教のことは,池上彰さんの解説書などで勉強し一定の理解はしていたが,井沢氏は池上氏より深く,特に流れを上手に説明されるので背景がよくわかって理解しやすかった。いつももう少し詳しくと思うが,そう思うなら解説書は山のようにあるので,まず,このくらいの内容で全体を掴むことは重要だと思う。 いつも氏の記述は浅からず深からず,私には相性が良い。本巻では一章のユダヤ教,三章のイスラム教の解説が特に良かった。一章は一神教の発生とも関わるので詳しく,三章は現代のISの問題とも関わるので慎重に書かれていた。イスラムは部族というのと親和性が高いのかなという印象を持った。五章ではキリスト教世界が近代化に成功した理由が述べられていて成程と思った。各宗教の倫理観についての考察も興味深かった。