突飛な発想だが実話に基づくというから驚き

2012年第85回アカデミー賞作品賞受賞作品です。同賞を受賞したということは推して知るべし、良くも悪くも単なる娯楽映画ではありません。 1979年11月、イランにてアメリカ大使館が占拠され、大使館員が人質に取られた現実にあった事件を基に作られた作品。大使館から脱出し、カナダ大使私邸に逃げ込んだ6名の大使館員を、架空の映画『アルゴ』のクルーとして脱出させようと画策するCIA職員・トニーの物語。「アメリカ側の視点しか描かれていない」とか、「事実と異なる」とか批判もあるようですが、この映画はドキュメンタリーでもノンフィクションでもないのですから、当然ではないでしょうか。 私はアメリカ=善、イラン=悪と描いているようには感じませんでした。モサデク政権が転覆しパーレビがシャーになったのはアメリカの陰謀だと言及していますし、革命が起こることを全く予測できなかったCIAのチョンボも描かれていますし。 冒頭の時代背景の説明では、実際の映像や写真を基に、映画の絵コンテ風イラストを駆使しています。アメリカ大使館前に殺到する暴徒たちのシーンでは、敢えてザラついた映像を交え、当時の実際の映像を織り交ぜているかのような錯覚をさせます。そして観る者を上手く映画(フィクション)の世界へシフトさせていきます。 正直云えば、クライマックスの、トニーが6人を空港へ連れていく前までは単調で、退屈でさえあります。そのせいもあるのか、クライマックスの緊迫感はやはり目を瞠るものがあります。是非自分の目で確かめてください。 飛行機がイラン領空を離れて緊張から解き放たれると、映画の登場人物たち同様、ニヤニヤ喜んでいる自分がいました。 最後に。 特典映像の、トニーや6名の大使館員、カーター元大統領らの回顧証言は必見かと。