若い頃――50年近く前、小三治師匠のファンだった。しばらく落語から遠ざかってしまったが、本書で久々、師匠の芸、生き方に触れた。昔と変わらず、媚びない人だ。うまくやろうとしないこと。しかし、下手なままでいいわけじゃない。噺家になる前は、演劇の道に進みたかったという師匠。スタニスラフスキーにも通じる名言だと思う。故・談志、志ん朝両師匠と違う考え方も面白い。ただ、「~じゃないですか」というしゃべり方が多いのが気になる。話芸を生業とする人だけに。次女が文学座の女優というのも、まさにドラマ。