日本人について研究が進んでいるのですね

日本人はどこから来たのかという謎について、わかりやすく書かれているのかと期待していましたが、思いのほか専門的な研究を書いた本でした。人類学に関する研究は平成の時代に大きく進み、ミトコンドリアDNAだけでなく、核DNAのハプログループによって分類され、先祖の由来が科学的に説明されています。しかし、古代人のDNAは劣化していることが多く、核DNAが分析できたのはまだごく一部だけとのこと。また、土の中から見つかったDNAは99%が細菌などほかの生物由来になるために、この研究は容易ではないと著者の研究者仲間から伺いました。実際、DNAで研究をするときには、研究者や発掘にあたる作業員などのDNAを事前に全て調べてから取り掛かるとのことに驚きました。そのため、日本人の祖先についての結論がまだ物足りなく思うのは、まだ研究途上だからと理解できます。特に、国境を越えた研究がすすめられないと、大陸から渡ってきた祖先についての決定打はありません。こうした課題は、個人だけで進められるものではないので、ここまでの研究をまとめてきた著者のご苦労がうかがわれます。 この本は「新版」とされていますが、「決定版」ではありません。あと数年たてば、さらに新しい知見が出てくると思われます。著者のさらなる研究を期待して☆4つとしました。