饒舌な死者

子供のころの臨死体験後、死者と交信できるようになったジョージ。一時は、「死者の会いたい、死者の言葉を聞きたい」と切望する人々のために、その才能を売りとする霊能力者を生業としていた。 しかし、生きている彼が、死者とばかり対話をしても未来はないと廃業し、現在は黙々と体を使って働いている。 繋がった死者がいつも心地よいことを言うわけではない。しかも、一方的であり、会話が成り立つわけでもない。確かに、そんな付き合いばかりしたら孤独に疲弊するであろう。 そこに、臨死体験をした女性が現れる。手を触れあってもつながるのは、その女性だ。目の前にいて、生きて、血肉の通った女性だ。 「その後」の世界は確かにある。「こちら」で生涯を終えた魂は、「浮かんでいる感じがイイ!」という「その後」の世界にいる。臨死体験をした彼の影も「その後」の世界にいるのかもしれない。だからつながることができるのかもしれない。しかし、彼は他にも自分と同じ体験をした人に巡り合った。 彼はもはや独りではない。孤独ではない。手をつないだら、目の前の美しい魂の片割れが饒舌に語り掛けるであろう。そして彼は慎み深い笑みを浮かべながら、その声に聞き入るのだ。