丹念に事実を掘り起こし、事実に基づき物語を紡いでいく。門田氏の作品に共通するところだ。架空や誇張は感じられない。作者の思いではなく、描かれた人間の思いを伝えることに主眼が置かれているからではなかろうか。ことさら人物を誇張し、美談にすることは、描かれた人物を汚すことなのだから。 作者は存命中の方を書かない。それは、その人物から批判を受けることを考えてのものという人もいるが、私は違うと思う。その人物と周囲に方々との関係が悪くならないようにとのことと思う。 この本の結末は悲しい。いろいろな意味で悲しいが、描かれた方が、台湾の方々からも、改めて後世に伝えるべき人物として見直された。悲しい物語なのだが、人々に希望を与えてくれるものでもある。 。