あくまで「読み物」

▲たとえば「一日の生活を時系列に解説する」というのではなく、いくつかある資料から読み取れることもとに点描的に叙述するという構成である。 ジャンルは多岐にわたっているがあくまで断片的に書き連ねていく。 学術的な手法を重視すればどうしてもこういう書き方になるしそれは一つの表現方法として歓迎すべきことである。 ▲しかしそういうスタンスを取るならそれに徹してほしかった。 この著者は現代人の倫理観や価値観をもって古代人を評するという過ちを犯している。 如実なのは女性観、奴隷観。 栄華の極みにあったとはいえひとつ気を抜けばあっというまに ~史実が示すように~ 内乱や侵略の憂き目を見たローマ人に、現代特にぬるま湯のごとき社会に生きている日本人のような贅沢な生き方が許されただろうか。 また、人間は社会的に全く発達しない生き物なのだろうか。 この本を読むとそういうことまで考えさせられてしまう。 ▲つまりこれは「読み物」なのである。 一昔前にはやったローマ通史物語のように「こういう切り方や書き方もあるのだな」というふうに読むべきものなのである。 その点を踏まえて読めばこの本はなかなかためになる。