【総評】
Xで、「日本の中華ファンタジーの質を1、2段上げる本」とのポストが流れてきたので購入。唐代上流階級女性の服飾解説が詳しく、図版が素晴らしい。唐代の図画、像、アクセサリー現物及び再現画をオールカラーで多数載っている。また、髪型や化粧も詳細(特に額に描く模様の名称が書いてあるのが大きい)。なので、一級の作画資料である。
特筆すべき点として、「特別編」として皇族女性の婚礼衣装特集ページがあること(ただ、「唐代」に限定した本なのに、なぜか北宋6代皇帝神宗の皇后座像画が載っている)。
【残念な点】
・対象が「唐代の上流階級の女性」と極めて限定されている。庶民女性や男性は対象外。そのぶん、妃や姫、貴族夫人などの「唐代の上流階級の女性」の服飾には非常に詳しい。「後宮ファンタジー」なら、妃や姫といった「主人」の服飾の参考には大変役立つが、侍女や下女の服飾の参考にはほぼならない(ごくわずかに侍女のイラストはあったが)。
・衣装とアクセサリーの前半部分は、解説が細かすぎるのか、本文と図版とがうまくリンクして理解しにくかった。中国人向けに書かれた本の翻訳のためか、日本人が日本人向けに書いた本よりは、スッと入ってきづらいのでは?
・化粧・髪型はまだ分かりやすかったが、衣裳の種類、部位ごとの名称が分かりづらい。本文中に書いてはあるが、それを見付け出しにくい。一応、巻末に「着こなし方」として、衣裳の種類ごとの線画があった。だが、解説と衣裳の名称にふりがながなかった。この「着こなし方」では不十分。より拡張して、シャツ、ジャケットなど「洋服のどの種類に当たるのか」と対比した、「服飾用語一覧」を付けてほしかった。例えるなら、「登場人物名が覚えづらいのに、登場人物一覧がない小説」といった感じである。
・「フォーマル」「カジュアル」とよく出てくるわりには、TPO、身分、季節ごとの装い、生地の違いは非常に薄い。もっと詳しく書いてほしかった。
・漢民族系の衣裳が主体であること。唐代は遊牧民系の衣装「胡服」と流行したと聞いていたが、扱いが少ない。胡服など、異民族系の衣裳ももっと取り上げてほしかった。
・「セレブ」との語が頻出するのが、文体・内容的に合わず、鼻につく。
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