表紙と中身が不一致

【表紙と中身が不一致】 本書の感想はこのひと言に尽きる。帯を含め、表紙で「王莽は改革者」とさんざん煽っておきながら、9割以上が、「本来宗教色が薄い儒教が、いかに『宗教化』『国教化』していったか」との視点だった。逆に、その点を知るには向く一冊。 表紙からは、「帝位簒奪前は民衆から強い支持を受けた王莽が、簒奪後急速に支持を失った【落差】」を期待していた。 だが、この【落差】は、ほとんど記述がない。直接論じたのは、「王莽の孤独」の節のわずか8ページに過ぎぬ。本当にがっかりした。 王莽という人物を論じるには、「簒奪前はなぜ人気を勝ち得たのか?」と、「簒奪後の不人気ぶり」との【落差】を詳述すべきでは? 儒教の宗教化・国教化に、王莽が大きな役割を果たした、との主張は分からなくもない。しかし、素人考えだが、それでも書名に「王莽」の名を入れるべきではなかったのでは? 一試案だが「儒教の宗教化・国教化について」との書名のほうが相応しかったのでは? また、行間から「改革者を支持しないのは『悪』」と感じられた。これが著者の考えなら、賛成しかねる。「どうすれば改革が支持されたのか?」との視点を強くすべきだったのでは?