ダスティン・ホフマンの圧倒的な演技

もはや伝説の、と言って良いボブ・フォッシー監督。アカデミー賞(監督賞・主演女優賞・助演男優賞・撮影賞等、何故か作品賞は受けていない)を得た「キャバレー」が最も有名な作品かと思うが、その後も映画では「レニーブルース」、「オール・ザット・ジャズ」、「スター80」と続く。また死後だが舞台(脚本・演出・振付)を手掛けた「シカゴ」も映画化(ロブ・マーシャル監督)されている。 そして、この作品の主人公レニー・ブルースも1950年代後半から1960年代前半にかけてショー・ビジネス界では伝説的な人物である。そんな彼を、関わった人物のインタビューで振り返る疑似ドキュメンタリーの体裁をとっている。インタビュアーは(画面に出てこないが)ボブ・フォッシー監督自身だ。こういう人物の常で、酒・薬・女に溺れて破滅的な人生を送り、最後は若くして死ぬ。そんな人物を演じてダスティン・ホフマンの演技・口舌は圧倒的で、画面から伝わる熱量は半端ではない。名作の多いダスティン・ホフマンの演技歴の中でも、ベスト・パフォーマンスと言い切って良いと思う。しかし、この作品ではアカデミー賞の演技賞は獲れていない。ダスティン・ホフマンがアカデミー賞(主演男優賞)を得るのは、この作品から5年後、1979年の「クレイマー クレイマー」まで待たなければならない(1988年の「レインマン」でも受賞)。 ラストショットは、レニー・ブルース本人の全裸死体(写真)という衝撃的なカットで終わる。今では許されないだろうなぁ。「キネマ旬報」ベストテン(1975年)第4位。