こんな地味な作品を良く出してくれた

渡辺美佐子と藤村有弘が主演と言う珍しい作品。当時の日活スター、浅丘ルリ子や石原裕次郎・小林旭等は全く顔を見せず、地味なキャスティングだが、時々日活は前記のスター映画の合間に、こういう重厚とまではいかないが人間ドラマを作っていた。 藤村有弘といえば、自分の世代には「ひょっこりひょうたん島」のドン・ガバチョ(の声)である。昭和30~40年代はテレビ・映画に引っ張りだこの売れっ子で、多芸多才の人だった。今のタモリの先達的な芸能人と言えば良いか。しかし、昭和57年、49歳と言う若さで亡くなってしまったのは、芸能史的には残念だった。 監督の前田満州夫は映画はわずか4作しか撮らず、その後はテレビに行ってしまったが、特にこの作品の脚本は後に大島渚監督と組んで「白昼の通り魔」、「絞死刑」、「少年」、「儀式」と日本映画史に残る問題作を連発した田村孟だけに、この後も二人が組めば相当な作品を期待できただけにこれも残念なことだった。