安手の青春ドラマ

瀬戸内の島の高校生・暁海と、転校生の櫂。付き合ったものの、櫂は東京へ出て売れっ子漫画家に。いわばスレ違いの青春ドラマだが、展開があまりにも作者本意で捻りが無い。唯一、褒めていいのはエピローグだが、言い換えればラストに辿り着くまでの文章の運びが辛い。この程度の作品が、様々な文学賞の候補になったり、映像化される現実は、出版不況そのものを表していると言っていい。文中、同人誌を馬鹿にしたような台詞が出てくるが、逆ではないか。商業主義に流される業界の堕落に比べ、同人誌の方にこそ優れた小説が多い。編集者も勉強が必要。