扉絵のエッシャー作「上昇と下降」がこの物語を象徴する。空巣狙い、精神科医とサッカー選手が乗る車、野良犬連れの失業者、神と崇められる男の物語が、時空間をずらしつつ、少しずつ錯綜する。読了した『オーデュボンの祈り』の案山子の噂話が出てニヤリ。空巣狙いの達観、失業者の諦念にはすごく納得。傲慢な精神科女医には嫌悪感。神を信奉する青年の不可思議な思考。既に2作目にして伊坂ワールドが確立されていると感じた。