グッときました

江戸時代の武士社会を題材にした時代小説です。 冒頭、今や大出世を遂げ筆頭家老となった彰蔵(勘一)が、消息がわからなくなった竹馬の友であった彦四郎が悲運の死を遂げていたのを知るところから始まります。 その謎が推理小説のように、回想タッチで解き明かされていくという展開で話が流れていきます。 読み始めはそうでもなかったですが、話の展開がスリリングでどんどん引き込まれていきます。構成も無駄なところがほとんどなく、みごとにつながっていて素晴らしいです。 身分の違う互いの才を認め合った二人の武士の友情がテーマです。運命のいたずらで主人公である勘一は表舞台を歩き、大出世を遂げるが、学問も剣の腕も上の秀才タイプの彦四郎は影のように生き、ひそかに死を迎えます。 そしてその勘一の大出世は、危機の時に一度ならず、ことごとく彦四郎に守られ、その犠牲があったためであることが明らかになっていくなかでクライマックスを迎え、真相を知った彰蔵は愕然とし、呵責の念にとらわれ号泣というところで話は終わります。 正義感の強い二人で、特に彦四郎のように人はここまで自己を犠牲にできるものでしょうか?。その究極の姿が描かれています。 単行本には未収録の終章が袋とじで追加されており、それがまた本編読後の感動に追い打ちをかけるような感じでさらにグッときました。 久々に心を洗われる内容の作品でした。 文句なしでおすすめできる秀作です。