名文

東京・本郷。赤門で有名なT大学の近くに在る「円福亭」で修業中の藤丸陽太は、デリバリーに出向いた同大大学院で植物を研究する本村紗英に好意を抱く。が、本村は植物ひと筋……。DNAなど植物の基本構成を始め堅苦しい世界ながら、分かりやすい文章で読ませるあたりはさすが。難しいことを分かりやすく書くのが名文だと井上ひさしは言ったが、まさに三浦氏に当てはまる。付け加えれば、氏はエッセイにも滲み出るように三の線が持ち味。本作にはそれも生かされている。読み始めて直ぐ、表題の意味にも気付く。