著者がこのような「笑」シリーズという短編集を書いていることは全く知らなかった。 本書を読んだ後に前作「黒笑小説」を読んでみたが、内容も可笑しさも格段にアップしていることがわかる。12編の短編はそれぞれ個々の話として十分におもしろいのだが、同じ登場人物が出てきて内容も微妙につながっているので、相乗効果で全体として良いものになっている。灸英社、金潮書店など実在の出版社を連想させる出版社名や、文学賞のネーミングもいかにもありそうな話だと思わせるし、熱海圭介、唐傘ザンゲという作家や獅子取、神田、広岡という出版社社員もモデルが実在するのではないかと思ってしまう。 特に面白かったのは「小説誌」。「小説灸英」編集長神田の中学生の息子達数名が職場見学に来て、鋭い突っ込みを入れるのだが、対応した編集者の青山がたじたじになり、ついには切れて「馬鹿たれ作家たちの相手がどんなに大変か」を叫び、神田の息子がお父さんの仕事の過酷さを知るというものだ。鋭い突っ込みの一例は「小説誌に掲載されたものは下書きで単行本にするときに書き直すのならば完成品ではない、そんなものを売って恥ずかしくないのか。詐欺ではないか」とか「連載終了しても単行本化されないのは失敗作、その失敗作が掲載されていた小説誌は不良品ではないのか、リコールすべきではないのか」など・・だ。ちょうど電車の中で読んでいて笑いをこらえるのが苦しかった。
東日本大震災に際して、著者が「天罰」と発言し物議を醸したことは記憶に新しい。被災者に対してではなく、日本人全体に対する言葉だということは容易に理解できたが、大手メディア(マスゴミ)は例によってバッシングに終始した。本書は副題にその「天罰」という言葉が使われているが、巻末を見ると、第1章の原文は文藝春秋2010年12月号「日本堕落論 このままでは日本は沈む」だ。つまり震災前から天罰という言葉を使っていたわけであり、震災の被災者に対するものではないことは自明である。 著者の本を読むのは初めてだが、難解な言葉と一般的でない外来語のカタカナ表記(例えばセンチメント)には正直なところ閉口した。 著者は「平和の毒」が日本人全体を蝕んでいるという。アメリカという間接的支配者に国家の自主性を委ね安易な他力本願が平和の毒を培養したのだと指摘する。大人たちの物欲・金銭欲・性欲、経済至上主義、ゆとり教育による教育の荒廃が日本を堕落させており、占領軍によって与えられたあてがい扶持の憲法を最良のものと信じ込まされている。アメリカにすべてを依存するという徹底した他力本願と自己放棄が今の日本の姿である。 かなり偏った考えだと糾弾する意見も多いかもしれないが、上辺だけは平和な日本の姿を保ちながら、最近でもTPPなどを利用したアメリカ(国家や政府や富裕層など)の日本支配・侵略が着々と進められている。従来から、アメリカ(国家や政府や富裕層など)の日本に対する考えは、対等なパートナーではなく、富を搾取する対象である。 福田和也の言葉「なぜ日本人はかくも幼稚になったのか、幼稚とは何が肝心かということが分からないもの」を引用して紹介しているが、日本人は堕落したというより幼稚になったという方が正しいかもしれないと感じた。
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歪笑小説
著者がこのような「笑」シリーズという短編集を書いていることは全く知らなかった。 本書を読んだ後に前作「黒笑小説」を読んでみたが、内容も可笑しさも格段にアップしていることがわかる。12編の短編はそれぞれ個々の話として十分におもしろいのだが、同じ登場人物が出てきて内容も微妙につながっているので、相乗効果で全体として良いものになっている。灸英社、金潮書店など実在の出版社を連想させる出版社名や、文学賞のネーミングもいかにもありそうな話だと思わせるし、熱海圭介、唐傘ザンゲという作家や獅子取、神田、広岡という出版社社員もモデルが実在するのではないかと思ってしまう。 特に面白かったのは「小説誌」。「小説灸英」編集長神田の中学生の息子達数名が職場見学に来て、鋭い突っ込みを入れるのだが、対応した編集者の青山がたじたじになり、ついには切れて「馬鹿たれ作家たちの相手がどんなに大変か」を叫び、神田の息子がお父さんの仕事の過酷さを知るというものだ。鋭い突っ込みの一例は「小説誌に掲載されたものは下書きで単行本にするときに書き直すのならば完成品ではない、そんなものを売って恥ずかしくないのか。詐欺ではないか」とか「連載終了しても単行本化されないのは失敗作、その失敗作が掲載されていた小説誌は不良品ではないのか、リコールすべきではないのか」など・・だ。ちょうど電車の中で読んでいて笑いをこらえるのが苦しかった。
新・堕落論
東日本大震災に際して、著者が「天罰」と発言し物議を醸したことは記憶に新しい。被災者に対してではなく、日本人全体に対する言葉だということは容易に理解できたが、大手メディア(マスゴミ)は例によってバッシングに終始した。本書は副題にその「天罰」という言葉が使われているが、巻末を見ると、第1章の原文は文藝春秋2010年12月号「日本堕落論 このままでは日本は沈む」だ。つまり震災前から天罰という言葉を使っていたわけであり、震災の被災者に対するものではないことは自明である。 著者の本を読むのは初めてだが、難解な言葉と一般的でない外来語のカタカナ表記(例えばセンチメント)には正直なところ閉口した。 著者は「平和の毒」が日本人全体を蝕んでいるという。アメリカという間接的支配者に国家の自主性を委ね安易な他力本願が平和の毒を培養したのだと指摘する。大人たちの物欲・金銭欲・性欲、経済至上主義、ゆとり教育による教育の荒廃が日本を堕落させており、占領軍によって与えられたあてがい扶持の憲法を最良のものと信じ込まされている。アメリカにすべてを依存するという徹底した他力本願と自己放棄が今の日本の姿である。 かなり偏った考えだと糾弾する意見も多いかもしれないが、上辺だけは平和な日本の姿を保ちながら、最近でもTPPなどを利用したアメリカ(国家や政府や富裕層など)の日本支配・侵略が着々と進められている。従来から、アメリカ(国家や政府や富裕層など)の日本に対する考えは、対等なパートナーではなく、富を搾取する対象である。 福田和也の言葉「なぜ日本人はかくも幼稚になったのか、幼稚とは何が肝心かということが分からないもの」を引用して紹介しているが、日本人は堕落したというより幼稚になったという方が正しいかもしれないと感じた。
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