実に面白かった!読み始めたら止まらず、読み終えるのが寂しかったくらいです。 又吉氏自身のラインナップによる47の文学作品が取り上げられていますが、 初出は、お笑いのライブ会場に置かれるフリーペーパーへの掲載ということで、 「学生に読んで欲しい」「本を好きになって欲しい」ラインナップだとか。 読書の習慣のない人にとっつきやすい作品も取り上げたと言いながらも、 カフカやカミュも入っているあたり、やはり本格的だなあと。 その他、書き下ろしも9篇ありました。 それぞれの作品をキーワードとした彼自身の随想が綴られています。 「小説より奇なり」なエピソードもたくさんありました。 ということで、あくまでも「書評」ではなく、又吉氏のエッセイ集という感じですね。 その、一つ一つの作品との関連付け方の妙味たるや、惹き込まれてしまいました。 又吉氏がどのような人物なのかということがかなり浮き彫りにされていて、 元々彼の大ファンでしたが、益々大好きになってしまいました。 洞察力が鋭く感受性が豊かで、そして文章力も秀逸なのではないでしょうか。 私が読んだことのある作品は、恥ずかしながら僅か5作品でしたが、 この作品にこの随想!?と、その斬新ながらも的を射ている感じがたまりませんでした。 未だ知らぬ作品に関しては、どれもすぐに読みたくなってしまいました。 作品ごとの冒頭で、その作品が収録されている本自体の表紙画像と、 出版社や価格まで記載されているのが大変親切です。 巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談が収録されており、こちらも内容が濃いです。 中村氏が、文学的な観点で「ピース」のネタを語る下りなど実に興味深く面白かった。 とにかく大満足。心に残る1冊でした。繰返し読む本になりそうです。
あまりにも有名な小説ですので、どうレビューしたらよいのやら・・。 これを初めて読んだ当時19歳の私は、どういうわけかデカダンスに惹かれていて、 この「問題作」にもはまってしまったのです。 それ以来、時に、若い頃とは逆に酷く嫌悪感を抱いたりしながらも繰返し読んできて、 経年劣化で読むのに支障が出る程になり、今回新たに購入したという次第です。 改版でどう変わったかをお伝えしたいと思います。 今回購入した版は、[平成18年156刷改版 平成23年189刷]。 私が持っていた版は、[昭和42年42刷改版 昭和49年61刷]でした。かなりの古本。 購入前の予想どおり、現在のものはフォントサイズがかなり大きくなっています。 手持ちの他の太宰の文庫本で、昭和62年82刷改版の「斜陽」を見てみると、 その時点で既に若干大きめのフォントになっており、この版はそれより更に大きいです。 昭和42年版では老眼鏡をかけても少し読み辛かった(紙の酷い黄変もあって)のですが、 新たに購入した方は、裸眼でも何とか読めます。 ただ、それを有難いことだと思いながらも、 長年親しんだものと比べると頁を開いた時の「風景」がほんの少々違う感じが 何となく寂しい・・手触りなんかも・・これは仕方ないですね。 しかし、今一度新鮮な気持ちで読むのも悪くないかもしれません。 文学作品に関しては、電子ブック読書は私には無理だなあと思ってしまいました。 カバーに関しては、私は古本屋でカバーなし20円というものを購入したので、 現在の物と表紙のデザインなど同様なのかは分かりません。 何年か前に鮮やかなピンク一色の限定カバーが出された時はかなり売れたそうですね。 その他、奥野健男氏による解説や、年表といった内容に関しては以前と同様です。 私の場合、前述のように愛着のある本に近い風景で読みたいということで 新潮文庫版を選択しましたが、そういった特殊な事情のない方は、 「人間失格」を含む代表作数篇を一冊に収めた文庫版もあったりしますので、 いろいろ検討されるのが宜しいかと思います。
「Something's Gotta Give」で邦題が「恋愛適齢期」ってのはちょっとセンスないなあ、と。 それはともかくとして、ヒロインのダイアン・キートンがものすごく素敵!かわいい! たまたま知人宅でお喋りしながら何となく観ただけの作品でしたが、 キートンの、なんとも魅力的な表情が忘れられず購入してしまいました。 それは、単に「年齢を重ねた女性の魅力」と言ってしまうのは不適切。 「輝いている女性は幾つになっても魅力的」と言う方が的確かなと感じます。 キートンはこの作品で、ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞してるんですね。 ジャック・ニコルソンも、最高に愉快で素敵な愛すべきキャラクターを演じています。 大御所名優二人が愉快痛快に織りなす上質のロマンチック・コメディー。 その二人に関わるキアヌは、全体的に画面に出ている時間はそれほど多くはないのですが、 重要な役どころで、要所、要所、何とも良い表情をみせ、好演しています。 私は「マトリックス」でしか彼を観ていないため、医師役の実に爽やかなキアヌは新鮮で、 これもまた忘れられないほど魅せられてしまいました。 映像も、全体を通してスタイリッシュで、視覚的にも素晴らしいシーンが満載です。 ストーリーはベタな話と言えばそうなのですが、この手のものにありがちな、 いかにも「大人の恋って素敵でしょ」的なある種のいやらしさはまったく感じず、 ただただ魅力的な男女が描かれていると私は感じました。ものすごく爽快です。 「老いることは恥ずべきことではない」なんて言葉がありますが、 この作品では「老い」を思いっきりギャグにしちゃっているところが気持ちいい。 何というか、コメディーに仕立てる匙加減というのが実に絶妙なのでしょう。 演出も演技もツボを心得ていて、洗練された仕上がりになっていると思います。 それから、映像特典も音声特典も大変面白いものでした。 特に、監督や俳優による解説は、単に撮影裏話などが楽しめるというだけではなく、 監督ナンシー・メイヤーズ、そしてニコルソン、キートンそれぞれの発する言葉から、 彼らが本当に魅力的な人物であることが伺え、とても良い気分にさせてくれました。 総合的に、非常に満足度の高いDVDでした。
渥美清さんの俳句、ファンとしてはとても惹かれる本です。 おそらく多くの人が想像するように、「寅さん」らしいユーモラスな句もあれば、様々な経験を持つ渥美さんならではの胸にぐっとくる深い句、と、味わい深い俳句の数々でした。 実を言うと、全部読んでないんです。俳句集かなと思っていたのですが、この本は『渥美清が俳句を詠んでいたということにまつわる周囲の関係者の証言から、今ひとたび渥美清という人を浮き彫りにする』という読み物です。どの句にも解説や感想が付いていて、私はそこを飛ばして、渥美さんの句だけ読みました。まずは、俳句そのものを私なりにイマジネーションをはたらかせ、自分なりの解釈で味わいたかったので・・。 勿論、充分に俳句を堪能したら全体を読むつもりですが、欲を言えば、純粋な『俳句集』もあったら嬉しいかなと思います。
TVドラマ「坂の上の雲」を観ていたら読みたくなってしまったという、些かミーハーな動機で購入しました。 この『子規句集』というのは、初版本は昭和16年、子規の弟子である高浜虚子選という由緒ある文庫版なんですね。子規は自分の句を丹念に分類して書き溜めていたということで、それに基づいた編集になっているそうです。 これまで、子規の句をただなんとなく読んだことはあったのですが、子規が「写生・写実」ということに重きをおいていたということを念頭に読んでいると、本当に味わい深いものがあります。 余談ですが、俳句の部分は文字が大きいので、老眼ぎみの私には大変読みやすくありがたいことでした。
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第2図書係補佐
実に面白かった!読み始めたら止まらず、読み終えるのが寂しかったくらいです。 又吉氏自身のラインナップによる47の文学作品が取り上げられていますが、 初出は、お笑いのライブ会場に置かれるフリーペーパーへの掲載ということで、 「学生に読んで欲しい」「本を好きになって欲しい」ラインナップだとか。 読書の習慣のない人にとっつきやすい作品も取り上げたと言いながらも、 カフカやカミュも入っているあたり、やはり本格的だなあと。 その他、書き下ろしも9篇ありました。 それぞれの作品をキーワードとした彼自身の随想が綴られています。 「小説より奇なり」なエピソードもたくさんありました。 ということで、あくまでも「書評」ではなく、又吉氏のエッセイ集という感じですね。 その、一つ一つの作品との関連付け方の妙味たるや、惹き込まれてしまいました。 又吉氏がどのような人物なのかということがかなり浮き彫りにされていて、 元々彼の大ファンでしたが、益々大好きになってしまいました。 洞察力が鋭く感受性が豊かで、そして文章力も秀逸なのではないでしょうか。 私が読んだことのある作品は、恥ずかしながら僅か5作品でしたが、 この作品にこの随想!?と、その斬新ながらも的を射ている感じがたまりませんでした。 未だ知らぬ作品に関しては、どれもすぐに読みたくなってしまいました。 作品ごとの冒頭で、その作品が収録されている本自体の表紙画像と、 出版社や価格まで記載されているのが大変親切です。 巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談が収録されており、こちらも内容が濃いです。 中村氏が、文学的な観点で「ピース」のネタを語る下りなど実に興味深く面白かった。 とにかく大満足。心に残る1冊でした。繰返し読む本になりそうです。
人間失格
あまりにも有名な小説ですので、どうレビューしたらよいのやら・・。 これを初めて読んだ当時19歳の私は、どういうわけかデカダンスに惹かれていて、 この「問題作」にもはまってしまったのです。 それ以来、時に、若い頃とは逆に酷く嫌悪感を抱いたりしながらも繰返し読んできて、 経年劣化で読むのに支障が出る程になり、今回新たに購入したという次第です。 改版でどう変わったかをお伝えしたいと思います。 今回購入した版は、[平成18年156刷改版 平成23年189刷]。 私が持っていた版は、[昭和42年42刷改版 昭和49年61刷]でした。かなりの古本。 購入前の予想どおり、現在のものはフォントサイズがかなり大きくなっています。 手持ちの他の太宰の文庫本で、昭和62年82刷改版の「斜陽」を見てみると、 その時点で既に若干大きめのフォントになっており、この版はそれより更に大きいです。 昭和42年版では老眼鏡をかけても少し読み辛かった(紙の酷い黄変もあって)のですが、 新たに購入した方は、裸眼でも何とか読めます。 ただ、それを有難いことだと思いながらも、 長年親しんだものと比べると頁を開いた時の「風景」がほんの少々違う感じが 何となく寂しい・・手触りなんかも・・これは仕方ないですね。 しかし、今一度新鮮な気持ちで読むのも悪くないかもしれません。 文学作品に関しては、電子ブック読書は私には無理だなあと思ってしまいました。 カバーに関しては、私は古本屋でカバーなし20円というものを購入したので、 現在の物と表紙のデザインなど同様なのかは分かりません。 何年か前に鮮やかなピンク一色の限定カバーが出された時はかなり売れたそうですね。 その他、奥野健男氏による解説や、年表といった内容に関しては以前と同様です。 私の場合、前述のように愛着のある本に近い風景で読みたいということで 新潮文庫版を選択しましたが、そういった特殊な事情のない方は、 「人間失格」を含む代表作数篇を一冊に収めた文庫版もあったりしますので、 いろいろ検討されるのが宜しいかと思います。
恋愛適齢期
「Something's Gotta Give」で邦題が「恋愛適齢期」ってのはちょっとセンスないなあ、と。 それはともかくとして、ヒロインのダイアン・キートンがものすごく素敵!かわいい! たまたま知人宅でお喋りしながら何となく観ただけの作品でしたが、 キートンの、なんとも魅力的な表情が忘れられず購入してしまいました。 それは、単に「年齢を重ねた女性の魅力」と言ってしまうのは不適切。 「輝いている女性は幾つになっても魅力的」と言う方が的確かなと感じます。 キートンはこの作品で、ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞してるんですね。 ジャック・ニコルソンも、最高に愉快で素敵な愛すべきキャラクターを演じています。 大御所名優二人が愉快痛快に織りなす上質のロマンチック・コメディー。 その二人に関わるキアヌは、全体的に画面に出ている時間はそれほど多くはないのですが、 重要な役どころで、要所、要所、何とも良い表情をみせ、好演しています。 私は「マトリックス」でしか彼を観ていないため、医師役の実に爽やかなキアヌは新鮮で、 これもまた忘れられないほど魅せられてしまいました。 映像も、全体を通してスタイリッシュで、視覚的にも素晴らしいシーンが満載です。 ストーリーはベタな話と言えばそうなのですが、この手のものにありがちな、 いかにも「大人の恋って素敵でしょ」的なある種のいやらしさはまったく感じず、 ただただ魅力的な男女が描かれていると私は感じました。ものすごく爽快です。 「老いることは恥ずべきことではない」なんて言葉がありますが、 この作品では「老い」を思いっきりギャグにしちゃっているところが気持ちいい。 何というか、コメディーに仕立てる匙加減というのが実に絶妙なのでしょう。 演出も演技もツボを心得ていて、洗練された仕上がりになっていると思います。 それから、映像特典も音声特典も大変面白いものでした。 特に、監督や俳優による解説は、単に撮影裏話などが楽しめるというだけではなく、 監督ナンシー・メイヤーズ、そしてニコルソン、キートンそれぞれの発する言葉から、 彼らが本当に魅力的な人物であることが伺え、とても良い気分にさせてくれました。 総合的に、非常に満足度の高いDVDでした。
風天
渥美清さんの俳句、ファンとしてはとても惹かれる本です。 おそらく多くの人が想像するように、「寅さん」らしいユーモラスな句もあれば、様々な経験を持つ渥美さんならではの胸にぐっとくる深い句、と、味わい深い俳句の数々でした。 実を言うと、全部読んでないんです。俳句集かなと思っていたのですが、この本は『渥美清が俳句を詠んでいたということにまつわる周囲の関係者の証言から、今ひとたび渥美清という人を浮き彫りにする』という読み物です。どの句にも解説や感想が付いていて、私はそこを飛ばして、渥美さんの句だけ読みました。まずは、俳句そのものを私なりにイマジネーションをはたらかせ、自分なりの解釈で味わいたかったので・・。 勿論、充分に俳句を堪能したら全体を読むつもりですが、欲を言えば、純粋な『俳句集』もあったら嬉しいかなと思います。
子規句集
TVドラマ「坂の上の雲」を観ていたら読みたくなってしまったという、些かミーハーな動機で購入しました。 この『子規句集』というのは、初版本は昭和16年、子規の弟子である高浜虚子選という由緒ある文庫版なんですね。子規は自分の句を丹念に分類して書き溜めていたということで、それに基づいた編集になっているそうです。 これまで、子規の句をただなんとなく読んだことはあったのですが、子規が「写生・写実」ということに重きをおいていたということを念頭に読んでいると、本当に味わい深いものがあります。 余談ですが、俳句の部分は文字が大きいので、老眼ぎみの私には大変読みやすくありがたいことでした。