先に丸谷才一、井上ひさしの文章読本を読んでいましたが、文章読本の嚆矢というべきこの本を読んでみたくなり、購入しました。内容的には丸谷才一が指摘しているように、「この本は含蓄というものを述べているといっても..」という部分に至って、ではいままで縷々書き連ねてきたことは一体何だったのか、と思わせられなくもないのですが。個人的には、正字新仮名というのは非常に読みにくいので、正字にするのならば旧仮名にしてほしかった(これは漱石、鷗外などの明治期の小説家の作品にも言える)。その点が残念でした。
「阿Q正伝」というタイトルですが、実際は魯迅の処女小説集「吶喊」の翻訳です。清朝末期の中国の生活をえぐった作品集。しかし、それは現在の中国民衆の生活に通じるものもあるのではないでしょうか。もちろん現在の日本民衆の生活を考えさせられるものでもあると思います。
大きく二つの部分に分けられると思います(キリスト教禁止の日本にやってくるポルトガル神父の行動を描く前半、キチジローの裏切りにより囚われて日本におけるキリスト教の受容について述べられている後半)。個人的には現在でも通用すると思われる後半に考えさせられることが多いように感じました。あらゆる文化を受け入れつつもそれを日本流に変容させていく日本という国。「隠れキリシタン」という形でキリスト教を保存させながら、「天地始之事」という形にする日本(これに関しては、河合隼雄氏と作者の対談があります)。現在でも同じ事をしているのではないかと考えさせられる本です。
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文章読本改版
先に丸谷才一、井上ひさしの文章読本を読んでいましたが、文章読本の嚆矢というべきこの本を読んでみたくなり、購入しました。内容的には丸谷才一が指摘しているように、「この本は含蓄というものを述べているといっても..」という部分に至って、ではいままで縷々書き連ねてきたことは一体何だったのか、と思わせられなくもないのですが。個人的には、正字新仮名というのは非常に読みにくいので、正字にするのならば旧仮名にしてほしかった(これは漱石、鷗外などの明治期の小説家の作品にも言える)。その点が残念でした。
阿Q正伝・狂人日記 他十二篇
「阿Q正伝」というタイトルですが、実際は魯迅の処女小説集「吶喊」の翻訳です。清朝末期の中国の生活をえぐった作品集。しかし、それは現在の中国民衆の生活に通じるものもあるのではないでしょうか。もちろん現在の日本民衆の生活を考えさせられるものでもあると思います。
沈黙
大きく二つの部分に分けられると思います(キリスト教禁止の日本にやってくるポルトガル神父の行動を描く前半、キチジローの裏切りにより囚われて日本におけるキリスト教の受容について述べられている後半)。個人的には現在でも通用すると思われる後半に考えさせられることが多いように感じました。あらゆる文化を受け入れつつもそれを日本流に変容させていく日本という国。「隠れキリシタン」という形でキリスト教を保存させながら、「天地始之事」という形にする日本(これに関しては、河合隼雄氏と作者の対談があります)。現在でも同じ事をしているのではないかと考えさせられる本です。