いつおもしろくなるのかと思いながら読み進めて、結局おもしろくなかったという本の典型。大タイトルから心脳問題について掘り下げた本なのかと思い手に取ったのですが、本書のメインテーマはサブタイトルのほう、「正統派科学者(ノーベル賞を受賞するような科学者)が(かつて異端と目されてきた)意識研究に走ったのはなぜか」という、ハッキリ言ってクソどうでもいいことでした。そもそも「意識」や「心」という主観は、世界を客観的に記述することをめざす、いわゆる「科学」で扱うことが困難であるというのはわかりきったことですが、内部観測のように「科学」のあり方に疑問を呈する動きはずいぶん以前からあり、「意識や心はちゃんとした科学者が扱うべき問題ではなかったのにそれを扱うのはなぜ」という筆者の問い自体が決定的に古いというかズレているというか…。中身は、どの研究者が意識についてざっくりどう考えているのか、というカタログ的なものなので、意識研究について最近興味を持ったけれど、何を読んだらいいかわからないという方が参考書とするには向いているかもしれません。心脳問題や意識研究について深く知りたいと思う方は読んでも無駄だと思います。こちらの求めているものと筆者が掲げたテーマが決定的にズレていたという意味では筆者は悪くないのですが。所々に顔を出す「それってあなたの感想ですよね」と言いたくなるような記述がうっとおしく、稚拙な印象を高めていると感じます。
読み応えあり。林養賢が金閣に火をつけた「動機」についてこれほど肉薄した著作をほかに知らない。精神医学の専門家としての筆者の真骨頂と言うべきか。三島のナルシシズムに対する考察もさすが。言語空間に対する「華麗な伽藍」という表現は言い得て妙である。三島ファンなら必読だが、三島をよく知らない方でも充分に引き込まれる内容であると思う。
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脳を開けても心はなかった
いつおもしろくなるのかと思いながら読み進めて、結局おもしろくなかったという本の典型。大タイトルから心脳問題について掘り下げた本なのかと思い手に取ったのですが、本書のメインテーマはサブタイトルのほう、「正統派科学者(ノーベル賞を受賞するような科学者)が(かつて異端と目されてきた)意識研究に走ったのはなぜか」という、ハッキリ言ってクソどうでもいいことでした。そもそも「意識」や「心」という主観は、世界を客観的に記述することをめざす、いわゆる「科学」で扱うことが困難であるというのはわかりきったことですが、内部観測のように「科学」のあり方に疑問を呈する動きはずいぶん以前からあり、「意識や心はちゃんとした科学者が扱うべき問題ではなかったのにそれを扱うのはなぜ」という筆者の問い自体が決定的に古いというかズレているというか…。中身は、どの研究者が意識についてざっくりどう考えているのか、というカタログ的なものなので、意識研究について最近興味を持ったけれど、何を読んだらいいかわからないという方が参考書とするには向いているかもしれません。心脳問題や意識研究について深く知りたいと思う方は読んでも無駄だと思います。こちらの求めているものと筆者が掲げたテーマが決定的にズレていたという意味では筆者は悪くないのですが。所々に顔を出す「それってあなたの感想ですよね」と言いたくなるような記述がうっとおしく、稚拙な印象を高めていると感じます。
金閣を焼かなければならぬ
読み応えあり。林養賢が金閣に火をつけた「動機」についてこれほど肉薄した著作をほかに知らない。精神医学の専門家としての筆者の真骨頂と言うべきか。三島のナルシシズムに対する考察もさすが。言語空間に対する「華麗な伽藍」という表現は言い得て妙である。三島ファンなら必読だが、三島をよく知らない方でも充分に引き込まれる内容であると思う。