解説文を読んで少しは常識にかかった小説と思って買ったのが大きな間違いでした。 110頁をこえたあたりからは、読み進むのが苦痛でしかありませんでした。 何が絶望かって、このような奇を衒うだけの小説が、「このミス」で評価されていることですね。 これだけ私と一般読者のミステリーに対する価値観が大きく乖離してしまったのか、と。 ミステリーとしての辻褄だけは整合しているのでしょうが、このテの小説はも結構ですわ。 佐々木譲「第二次世界大戦三部作」、宮部みゆき「火車」、高村薫「マークスの山」、大沢在昌「新宿鮫」、原僚「私が殺した少女」、桐野夏生「OUT」そんなワクワクするような小説が、このミスの上位を席巻する時代はもう二度と来ないのでしょうね。
最近は奇を衒ったパズラー好みのミステリーが跋扈し、少々食傷気味。 堂々としたストーリーと意表を衝く展開、ミステリーはこうであって欲しい。
物語の中盤において人間不信に陥る場面が多々ある。 しかしそのどれもが結末への伏線であり、自身が重要視する読後感のいい小説である。
館物のミステリーの場合、作者が思っているほど読者はその情景や描写を脳内変換できていません。 この作品が最たるもので、私は文中のありとあらゆる情景描写が脳内に映像として変換できませんでした。 従って中盤以降は完全に流し読みで、自分にとっては非常に残念な作品となりました。 綾辻行人をはじめとするかつての館物は、もっと強烈に頭に入ってきたのですが・・・。 加えてあまりにも奇を衒った舞台設定も興ざめの一言。 これが「このミス」上位にランクインするということは、私と世論とが乖離してきているにでしょう。
全編にわたり、「人間」という生き物、そして人間である「私」を主題においた私小説なのでしょうか。 私の読書遍歴は本格推理から始まりましたが、年齢を重ねるにしたがって、 ミステリ→エンタメ全般→純文学→そして三島 に行きつきました。 視点へのスポットの当て方、心理情景描写、どれをとっても今まで読んでいた特に若手ミステリ作家のそれとはまったく異なる世界です。 自らの命を賭しても遺そうとした肉筆の数々をこれから少しずつ読んでいこうと思っています。
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エレファントヘッド
解説文を読んで少しは常識にかかった小説と思って買ったのが大きな間違いでした。 110頁をこえたあたりからは、読み進むのが苦痛でしかありませんでした。 何が絶望かって、このような奇を衒うだけの小説が、「このミス」で評価されていることですね。 これだけ私と一般読者のミステリーに対する価値観が大きく乖離してしまったのか、と。 ミステリーとしての辻褄だけは整合しているのでしょうが、このテの小説はも結構ですわ。 佐々木譲「第二次世界大戦三部作」、宮部みゆき「火車」、高村薫「マークスの山」、大沢在昌「新宿鮫」、原僚「私が殺した少女」、桐野夏生「OUT」そんなワクワクするような小説が、このミスの上位を席巻する時代はもう二度と来ないのでしょうね。
爆弾
最近は奇を衒ったパズラー好みのミステリーが跋扈し、少々食傷気味。 堂々としたストーリーと意表を衝く展開、ミステリーはこうであって欲しい。
六人の嘘つきな大学生
物語の中盤において人間不信に陥る場面が多々ある。 しかしそのどれもが結末への伏線であり、自身が重要視する読後感のいい小説である。
兇人邸の殺人
館物のミステリーの場合、作者が思っているほど読者はその情景や描写を脳内変換できていません。 この作品が最たるもので、私は文中のありとあらゆる情景描写が脳内に映像として変換できませんでした。 従って中盤以降は完全に流し読みで、自分にとっては非常に残念な作品となりました。 綾辻行人をはじめとするかつての館物は、もっと強烈に頭に入ってきたのですが・・・。 加えてあまりにも奇を衒った舞台設定も興ざめの一言。 これが「このミス」上位にランクインするということは、私と世論とが乖離してきているにでしょう。
仮面の告白
全編にわたり、「人間」という生き物、そして人間である「私」を主題においた私小説なのでしょうか。 私の読書遍歴は本格推理から始まりましたが、年齢を重ねるにしたがって、 ミステリ→エンタメ全般→純文学→そして三島 に行きつきました。 視点へのスポットの当て方、心理情景描写、どれをとっても今まで読んでいた特に若手ミステリ作家のそれとはまったく異なる世界です。 自らの命を賭しても遺そうとした肉筆の数々をこれから少しずつ読んでいこうと思っています。