前作「カササギ殺人事件」でミステリー賞を総なめにしたホロヴィッツの新作です。 作中作のトリックで読書をあっと言わせた前作。今作は現実と虚構を巧みに取り混ぜ、独自の世界を構築した意欲作。 もちろん殺人事件を始め、全てがフィクションではあるが、作者自身の実生活を随所に織り込む事で、あたかも実体験を描いているかのように感じさせる仕掛けは見事です。 複雑な人間関係が事件解決の軸となり、ワトソン役の(と云うよりヘイスティングですね)作者のミスリードに読者が翻弄される等、アガサばりの英国ミステリーが十分楽しめます。 ただ、探偵役のホーソーンが有能ではあるが、人間性に魅力を欠け、感情移入出来ないところがマイナス点。
ある女性がサイコキラーに誘拐監禁される。 徐々に衰える体力気力。獰猛なネズミ達が迫り来る、絶体絶命の危機。 彼女は無事に脱出出来るのか。 ヴェルーヴェン警部は彼女を救い出せるのか。 と云う筋立てを想像していたのですが、途中で物語は一転。予想外の展開を迎えます。 アレックスの言動に少々矛盾は感じますが、小説のアイディアは抜群に面白いです。
本当に海に潜っているかのような、冒険心溢れる仕掛け絵本です。 海上と海中が繋がったアイデアが抜群。 細かい所まで丹念に描かれており、色とりどりの海中生物が愛らしい。 物語自体は単純で、もうひと工夫あれば、更に良かったのに。
ルメートルのデヴュー作です。 邦訳の刊行年が次作「その女アレックス」と逆になっているので要注意。 アレックスを先読してしまうと、本書の興味が半減します。 一章が短く区切られ、時系列に沿ってテンポよく進行するので、非常に読み易い。 ただし、殺害現場は凄惨で、残虐な描写があるので、苦手な方はご注意下さい。 傑作ミステリーですが、犯人捜しに結び付くようなヒントの描写は殆ど無く、フーダニットの要素は有りません。 作品全体がひとつのトリックになっており、その奇抜さに驚き楽しむ作品だと思います。 やり切れない思いが残る結末が、少し残念です。
ホラー作家と呼ぶには余りにも多種多様多彩な作家です。 巨匠初のミステリーと言う謳い文句ですが、犯人は既に解っているので、推理的要素はありません。 ですが、ジャンルに縛られず、面白いモノは面白い。 最初からグイグイ引き込まれ、中弛みも無く、最後まで一気に読めます。 デヴュー半世紀になろうかと言う、大ベテランですが、全く衰え知らず。 初期中期の作品より、更に更に面白い物語を連発。 キング読んどけば、間違いありません。
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メインテーマは殺人
前作「カササギ殺人事件」でミステリー賞を総なめにしたホロヴィッツの新作です。 作中作のトリックで読書をあっと言わせた前作。今作は現実と虚構を巧みに取り混ぜ、独自の世界を構築した意欲作。 もちろん殺人事件を始め、全てがフィクションではあるが、作者自身の実生活を随所に織り込む事で、あたかも実体験を描いているかのように感じさせる仕掛けは見事です。 複雑な人間関係が事件解決の軸となり、ワトソン役の(と云うよりヘイスティングですね)作者のミスリードに読者が翻弄される等、アガサばりの英国ミステリーが十分楽しめます。 ただ、探偵役のホーソーンが有能ではあるが、人間性に魅力を欠け、感情移入出来ないところがマイナス点。
その女アレックス
ある女性がサイコキラーに誘拐監禁される。 徐々に衰える体力気力。獰猛なネズミ達が迫り来る、絶体絶命の危機。 彼女は無事に脱出出来るのか。 ヴェルーヴェン警部は彼女を救い出せるのか。 と云う筋立てを想像していたのですが、途中で物語は一転。予想外の展開を迎えます。 アレックスの言動に少々矛盾は感じますが、小説のアイディアは抜群に面白いです。
オセアノ号、海へ!
本当に海に潜っているかのような、冒険心溢れる仕掛け絵本です。 海上と海中が繋がったアイデアが抜群。 細かい所まで丹念に描かれており、色とりどりの海中生物が愛らしい。 物語自体は単純で、もうひと工夫あれば、更に良かったのに。
悲しみのイレーヌ
ルメートルのデヴュー作です。 邦訳の刊行年が次作「その女アレックス」と逆になっているので要注意。 アレックスを先読してしまうと、本書の興味が半減します。 一章が短く区切られ、時系列に沿ってテンポよく進行するので、非常に読み易い。 ただし、殺害現場は凄惨で、残虐な描写があるので、苦手な方はご注意下さい。 傑作ミステリーですが、犯人捜しに結び付くようなヒントの描写は殆ど無く、フーダニットの要素は有りません。 作品全体がひとつのトリックになっており、その奇抜さに驚き楽しむ作品だと思います。 やり切れない思いが残る結末が、少し残念です。
ミスター・メルセデス 上
ホラー作家と呼ぶには余りにも多種多様多彩な作家です。 巨匠初のミステリーと言う謳い文句ですが、犯人は既に解っているので、推理的要素はありません。 ですが、ジャンルに縛られず、面白いモノは面白い。 最初からグイグイ引き込まれ、中弛みも無く、最後まで一気に読めます。 デヴュー半世紀になろうかと言う、大ベテランですが、全く衰え知らず。 初期中期の作品より、更に更に面白い物語を連発。 キング読んどけば、間違いありません。